・ こんなときは 「うつ病」 を考えてみる

  家族や友人、恋人との関係、職場のコミュニケーション、仕事や試験での大きなミスや恋愛のトラブルが原因で落ち込んだり、気持ちが沈む。人はこのような「プチうつ」 気分になることはあってもたいていの場合は数時間、あるいは数日で気持ちも体も復活して立ち上がっていくものです。また特に思い当たる原因はないのに気分がすぐれない。やはり「プチうつ」気分ではあっても日常の生活はできている。「プチうつ」気分が顔を出したり、引っ込んだりしながら1日を過ごしていくのは、現代ではふつうのことといっていいのかもしれません。

 ただし落ち込んだ気分がずっと続いて、いつまでたっても変わらない。憂うつな時間がどんどん増えていっている。これは 「うつ状態」 と呼んでもいいでしょう。さらに「自信がまったくない」「なんだかわからないけど悲しい」「虚しい」といったうつ気分が晴れることなく、2週間以上も続いている。「自分は生きている価値がない」「ダメな人間」「社会に必要ではない」 などと思い詰めたり、会社や学校に行くのがつらくなる。今まで興味のあったものに無関心になる。ふつうにできていた仕事ができなくなる。物事が決められなくなるなど日常生活に支障が現れているなら、単なる気の持ちようではなく「うつ病」を考えてみる必要があります。

・うつ病になると、どうなるの?

 うつ病は心理・環境・身体・性格などの1つ、または複数に重なり合う要因が、脳内で情報伝達を行う神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスを崩し、不足させることで起こると考えられています。各要因の下にかかるストレスが主たる原因ですから、現代人のほとんどはうつ病になる可能性アリといっても間違いではないでしょう。

 実際にうつ病になると……朝起きた瞬間に暗くて重い、うつ気分が始まります。午前の時間帯が最もひどいのがふつうですが、その後1日中暗い気分は変わらず、体のだるさも続きます。動作や頭の働きもスローになってしまい、新聞やテレビもただボーッと眺めるだけで内容は頭に入りません。仕事、学校、家事や遊ぶことさえ面倒になり、向かう意欲が湧きません。無理をして何かを始めてみても気持ちが定まらず、立ったり、座ったり、落ち着きなくウロウロして最後は投げ出す結果に。いつも決断できたことにも迷いばかりが生じて、決められなくなります。自分自身にため息をつき、さらに深く落ち込んでいきます。
 食欲は減退します。好きな食べものを食べてもおいしいと感じず、ひどいときには砂を噛んでいるように思えます。当然体はどんどん細くなっていきます。夜はなかなか眠れず、寝たと思うと何度も目がさめて、考えるのはネガティブなことばかり。「自分は役立たずの、ダメ人間」「いっそいなくなってしまえば……」と思い詰めることも。結局は眠れず、また朝を迎えては同じ1日を繰り返す。こうしてうつ病は少しずつ重くなっていくのです。

 ストレスにさらされる環境に身を置けば、だれでもうつ病になる可能性はあります。
 それゆえに 「心の風邪のようなもの」 と言われがちですが、実際は軽くてインフルエンザ、重ければ肺炎というように、風邪よりもずっと重い病と考えたいもの。その人が持っている元気やエネルギーが極端に低い状態で頭痛や肩こり、倦怠感など日常生活を難しくする、さまざまな身体的症状が現れるのもうつ病の特徴です。ですから早期の発見・診療が絶対に必要なのです。

 うつかな? と思ったら、絶対に1人で悩まないでください。
 家族・友人・上司・会社の産業医、教師……。そして街にはたくさんの相談機関があり、相談員がいます。悩みを吐き出す、人に聞いてもらうだけで気持ちはかなりラクになるものです。
 体の病気の場合もありますので、まずは内科を訪ねましょう。そこでの診療で 「異常がない」 と言われて、それでも調子がすぐれないときは迷うことなく精神科や心療内科を受診しましょう。

 うつ病の治療で1番に大切なことは、焦らずゆっくり休むこと。
 そのうえに薬物療法、精神療法などを同時に進めて、複雑にからみ合ううつ病の要因を探り出し、改善へと向けていきます。

・以上は一般的で、基本ともいうべき 「うつ」 に関する記述です。
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